はじめに:地方移住が注目される背景
リモートワークの普及やライフスタイルの見直しにより、
都市部を離れて地方で暮らす「地方移住」に注目が集まっています。
特に2020年以降の新型コロナ禍で通勤不要・テレワーク前提の働き方が一般化し、都市に住み続ける必然性が薄れました。
実際2022年には福岡市が全国の市区で人口増加数1位となるなど、地方への人の流れが顕在化しています。
また、「ワークライフバランス」や「自然と共生する暮らし」を求める人々が増え、地方への移住相談件数が年々増加。
国や自治体も移住支援金(世帯最大100~300万円)やお試し移住体験の制度を設けて後押ししています。
こうした背景から、本記事では「仕事」「子育て」「自然環境」の3つのジャンル別に、地方移住におすすめの市町村TOP5を紹介します。
それぞれ信頼性の高い公的データや移住支援情報、地方創生の取り組み、そして実際の移住者増加の傾向を根拠にランキング化しました。
移住先選びの参考に、具体的な魅力や支援制度の概要をチェックしてみましょう。
仕事で選ぶ地方移住おすすめ市町村TOP5
テレワークや地方創生企業誘致の進展により、「仕事」が理由で地方移住を選ぶケースが増えています。
以下は雇用環境や働きやすさで評価の高い自治体5選です。
求人倍率など客観データや支援策に基づき厳選しました。
1. 福岡市(福岡県) – 地方最大級の雇用市場と成長都市

地方移住先として不動の人気を誇る大都市です。
2022年に人口増加数が全国市区でトップとなり、特に20代の若年層流入が顕著。
スタートアップ支援特区に指定されIT企業の集積が進むなど、求人数・求人倍率とも地方最高水準(2023年有効求人倍率1.71倍で全国トップ)。
九州の経済中枢として安定した雇用があり、行政と地元商工会による移住者の就職支援も充実しています。
都市機能と程よい自然環境を併せ持つ「暮らしやすさ」も魅力で、移住後のキャリア継続に最適な街です。
2. 浜松市(静岡県) – 製造拠点と移住者支援が両立する政令市

中部地方を代表する工業都市でありながら、
東京・名古屋から新幹線でアクセス良好なトカイナカ(都会+田舎)の好例です。
YamahaやHondaなど製造業の本社・工場が立地し雇用機会が豊富。
加えて、市外からの移住者には住宅取得費用最大100万円補助や、商工会議所と連携した就職支援策を積極展開するなどサポートも手厚い。
海・山・湖に囲まれアウトドアも楽しめる暮らしやすさもあり、総務省の調査でも移住希望ランキング上位常連として注目されています。
3. 伊那市(長野県) – 地方版ワーキングホリデー先駆けの町

長野県南部に位置し、中央アルプスと南アルプスに囲まれた自然豊かな中堅都市です。
移住マッチングサービス利用者からの人気が3年連続全国1位と評価され、
「りんご農園での収穫体験」「古民家リノベのお手伝い」
など仕事と暮らしを組み合わせた移住体験プログラムを多数展開。
こうした官民協働のワーケーション施策により若者の移住希望が増加。
長野県全体でも有効求人倍率は1.4倍前後と高めで、地域おこし協力隊の募集も活発です。
田舎の人手不足ニーズと移住者をマッチングする取り組みが進んだ、地方創生のモデルケースです。
4. 萩市(山口県) – 高求人倍率の山口県で注目の地方創生モデル

人口約4万、豊かな森林と日本海に面した城下町です。
山口県は有効求人倍率が1.7倍超で全国最高水準、萩市も伝統産業からIT企業誘致まで雇用創出に積極的。
森林資源を活かした交流拠点づくりやお試し移住ツアー等のプロジェクトが全国的に評価され、移住希望者ランキングでも西日本トップクラスに躍進しました。
移住者向けにUIターン住宅提供や地元企業の求人情報発信なども充実。
自然に囲まれた町でありながら、働く場と仕組みを整備している点が魅力です。
5. 白浜町(和歌山県) – 「テレワークの聖地」と呼ばれるリゾートタウン

関西屈指のビーチリゾートで、近年は自治体ぐるみのIT企業誘致戦略で脚光を浴びています。
2015年に米セールスフォース社がサテライトオフィスを開設して以来、数十社が進出。
町全域に無料Wi-Fi網を整備し、官民連携でコワーキング施設「ANCHOR」もオープンするなど全国でも先進的なDX施策を次々展開。
その結果、「地方テレワークの聖地」と称される成功を収め、都市部からの長期ワーケーション利用や移住者が増加しています。
温泉や海岸といった観光資源と最新の働く環境が両立する、まさに新時代の働き方モデル地域です。
子育てで選ぶ地方移住おすすめ市町村TOP5
「教育環境」「経済的支援」「医療体制」など子育て世代に嬉しい制度が充実した自治体は、移住先としてますます人気です。
待機児童数や出生率の改善に成功した地域から、全国トップレベルの支援策を誇る自治体まで5つ選びました。
1. 豊後高田市(大分県) – 全国トップレベルの本気の子育て支援

人口約2万人ながら、移住希望ランキングで11年連続ベスト3入りする人気の田舎町。
市が掲げる「本気の子育て支援」は名に違わず、第5子誕生で200万円の祝い金を支給。
さらに保育料と幼稚園授業料は完全無料、
小中学校の給食費も全て無料と経済負担を大幅軽減。
妊娠中から中学生まで医療費も無償でサポートし、出生祝い金も第1子から給付。
これほど手厚い支援は全国でも稀で、実際に移住者の子育て世帯流入が続いています。
「住みたい田舎ランキング」では子育て支援制度充実度で全国1位を獲得するなど、その充実ぶりは折り紙付きです。
2. 境町(茨城県) – 人口増を果たした「子育て支援日本一」宣言の町

東京近郊ながら7年ぶりに人口増へ転じ、令和6年度は社会増+272人を達成した注目の地方自治体です。
背景には「子育て支援日本一」を掲げる町の積極策があります。英語教育の導入や子育て世帯向け住宅の提供、出産祝い金など数多くの施策が奏功し、転入者の大半が子育て世代という状況です。
実際『田舎暮らしの本』ランキングでも「移住者増の人気地」全国1位、子育て世代部門で全国2位(関東1位)に輝きました。
都心への高速バスを運行し通勤通学圏内に収める工夫もしており、都市と田舎の良さを両立させながら子育てしやすい環境づくりに成功した自治体です。
3. 養父市(兵庫県) – オール世代に優しい移住先・近畿エリア総合1位

兵庫県北部の山あいに位置し、2023年「住みたい田舎」近畿エリア総合1位に輝いた市です。
その理由は、子育て支援から若者・単身者支援、シニア施策まで幅広く充実した「誰もが暮らしやすい町づくり」にあります。
待機児童ゼロを維持し、中学生まで医療費無料など基本的な支援は網羅。
加えて保育料軽減や放課後児童クラブの整備など共働き家庭への配慮も◎。
大阪・神戸から車で約2時間圏内と程よい距離で、自然豊かな田舎暮らしと都市の利便性を両取りできる点も魅力です。
スキー場や伝統行事も多く、地域ぐるみで子どもを育てる風土が根付いたあたたかい自治体です。
4. 秋田市(秋田県) – 豊かな自然と都市機能を備え子育て支援も充実

東北地方で移住希望が高まっている中核市です。
海と山に囲まれた自然環境と、30万人都市の利便性が同居する「ちょうどよさ」が評価され、『住みたい田舎ランキング』では4部門で全国1位を獲得しました。
市独自の移住支援制度や子育てサポートも充実しており、
市内14か所の子育て支援センターによる相談体制や、
放課後児童クラブ(学童保育)の拡充など共働き世帯への支援も手厚い。
地方創生のモデルケースとして行政サービスが行き届いており、自然の中で安心して子育てできる環境づくりで移住者から高評価を得ています。
5. 西条市(愛媛県) – 待機児童ゼロと若者定住に成功した四国の工業都市

愛媛県東部に位置する人口11万人の地方都市。
産業面では四国有数の工業地帯を抱え雇用豊富ですが、子育て環境も整備が行き届いています。
2019年時点で待機児童ゼロを達成し、市内に29園もの保育施設を確保。
中学生まで医療費無料や8か所の子育て支援センター設置などハード・ソフト両面でサポート。
高校・大学進学時の奨学金貸付制度もあり教育面も安心です。
さらに完全オーダーメイドのお試し移住ツアーを
自治体自ら実施し、若い移住希望者の定住を後押し。
こうした取り組みから、移住先として「若者が住みたい田舎」全国1位にも選ばれています。
産業都市でありながら子育てしやすい優等生的な自治体です。
自然環境で選ぶ地方移住おすすめ市町村TOP5
雄大な自然の中での暮らしに憧れて地方移住を選ぶ人も少なくありません。
山・森・海に囲まれた環境や美しい景観に加え、
観光資源を活かした地域活性化が進む5つの自治体を紹介します。
1. ニセコ町(北海道) – 世界が注目するリゾートで「ちょっと暮らし」

羊蹄山の麓、雄大な自然に抱かれた北海道の国際リゾートタウンです。
冬は世界的に有名なパウダースノーを求め外国人も多く訪れますが、実は1ヶ月程度の短期移住体験「ちょっと暮らし」の先進地としても知られます。
夏のグリーンシーズンに滞在して生活を試すプログラムを自治体が用意し、気軽に田舎暮らしを体験可能。移住相談体制も整っており、英語対応もできる国際色豊かなコミュニティがあります。
雄大な山並みや清流、
温泉など四季折々の自然を満喫できる環境と、観光地ならではの活気が両立した特別な町です。
2. 富士河口湖町(山梨県) – 富士山と湖に抱かれた絶景ロケーション

富士山北麓に位置し、河口湖など富士五湖の美景に恵まれた町です。
澄んだ水と緑に包まれ、季節によっては湖面に映る逆さ富士が見られるほどの絶景で、古くから別荘地や観光地として人気があります。
著名人が移住する例も多く、JOIN移住支援のアンバサダーを務めるタレントも当地で自然暮らしを楽しむほど。
都心からのアクセスは車で約2時間と比較的良好で、移住者向けのテレワーク拠点施設や交流イベントも充実。
世界遺産・富士山の麓というブランド力と、豊かな自然環境でのんびりした生活が両立できるエリアとして、ファミリーからリタイア世代まで幅広い層におすすめです。
3. 八幡平市(岩手県) – 星空と温泉の高原都市、持続可能な田舎暮らし

岩手県北西部、秋田県境に広がる八幡平山麓の高原都市です。
満天の星空と澄んだ空気が自慢で、「星空観賞の聖地」に選定されたエリアもあります。
周囲には十和田八幡平国立公園が広がり、
トレッキングやキャンプなどアウトドア好きにはたまらない環境です。
源泉かけ流しの温泉が点在し、温泉付き移住体験住宅を提供するなどユニークな移住支援も展開。
近年は地熱エネルギーや木質バイオマス利用など環境に優しい地域づくりに注力し、持続可能な田舎暮らしモデルとしても注目されています。
四季折々の雄大な景色と先進的なエコ施策が融合した、新しい自然派移住先です。
4. 由布市(大分県) – 名湯・湯布院と里山が調和する癒しの地

由布岳の麓に広がる由布市は、全国有数の温泉地「湯布院」を中心とした自然豊かな地域です。
水田が広がる盆地と由布岳の雄大な景観はまさに日本の原風景で、年間を通じ観光客が訪れつつも静かで穏やかな暮らしができます。
移住人気も高く、直近の移住者増加ランキングで全国4位に入るほど若い世代の移住が進んでいます(宝島社調査)。
温泉を活用した地域コミュニティ施設や、美術館・音楽祭など文化的な魅力も豊富。
農業やカフェ開業などスローライフ志向の移住者にも優しく、「観光地に暮らす」という贅沢を実現できる町として人気です。
5. 屋久島町(鹿児島県) – 世界自然遺産の島で究極のスローライフ

最後は離島から、九州南方の屋久島。
島全体がユネスコ世界自然遺産に登録されているほどの手つかずの自然が残り、樹齢数千年の縄文杉や神秘的な原生林は圧巻です。
島の90%以上が森林で「1ヶ月に35日雨が降る」と言われる独特の気候が生み出す豊かな生態系は世界的にも希少。
最近ではテレワーク普及に伴い、
都市からこの島に移住しネットで仕事を続ける人も増えてきました。
移住者には住宅改修補助や就業支援金などの制度もあり、島ぐらしの不安を軽減。
交通は鹿児島本土から高速船や飛行機でアクセス可能です。
「不便さを楽しめる人」にとっては極上の環境であり、時間の流れがゆったりと感じられるスローライフを満喫できるでしょう。
まとめ:ニーズに合った場所を選び快適な地方移住を
以上、「仕事」「子育て」「自然環境」別の地方移住先トップ5を紹介しました。
地方移住はそれぞれの地域が持つ特色や強みを知り、
自分たち家族のニーズに合った場所を選ぶことが成功の鍵です。
各自治体の公式サイトや移住支援センターでは、ここに挙げた制度の詳細や最新情報を公開しています。
ぜひ参考にして、理想の移住先で新たな暮らしをスタートさせてください。
『地方移住』という選択が、皆さんにとって充実した人生の次の一歩となりますように。
他にも以下記事で色々な移住先をまとめているのでぜひ。